生きづらさを感じている全ての人へ

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どうも、SHIPの生きづらさマニア、佐々木将人です。SHIPでは2017年11月5日、「生きづらさを感じている全ての人へ」と銘打ったイベントを開催しました。ゲストは、自身がゲイであることをオープンにして、LGBTに関しての理解を広げる活動を行っている松岡宗嗣氏です。今回は松岡氏に、「世の中の生きづらさについて」、カミングアウト当時の実体験を基に語っていただきました。

みなさんは、「世の中生きづらいなー」と思うこと、ありませんか?私は「自分って何者なんだろう?」、「自分って何がしたいんだっけ?」、と考える日々です。「自分自身が分からない」という悩みは、きっと多くの人が抱えていると思います。「みんながしているから」、「みんなが言っているから」など、自分の伝えたいことを伝えられず、世の中の当たり前に流されて生きてきた方もいるのではないでしょうか。

SHIPは、ヘルスケア業界で「何かを実現したい人」を応援するコミュニティーです。何かを実現するためには、まず自分自身と向き合うことが必要です。そこで、ひたむきに自分自身と向き合った松岡氏に、「自分自身と向き合う」きっかけを作ろうというものが、今回のイベントの狙いです。

 

LGBTは日本に神奈川県民と同じくらいいる

 

LGBTとは、性的少数派を総称する言葉のひとつです。女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の4つの性的指向の頭文字を取って名付けられたものが、LGBTです。

日本の全人口の約7.6%(13人に1人)がLGBTだと、松岡氏は言います。この数は、「左利き」「AB型」「神奈川県民の人口」や、日本で多いとされる名字の「佐藤・鈴木・田中・高橋・伊藤・渡辺さんの総数」くらいに当たるそうです。

「左利きの人、AB型の人、佐藤さん、田中さんには、みなさん会ったことがありますよね?」――。LGBTかどうかは見た目では分かりませんが、あなたが知らないだけで、横にいる人はLGBTかもしれません。「いない」のではなく、「見えていない、気づいていない」のだと、松岡氏は言います。まずは、世の中にLGBTの方が多く存在すると知ることが重要なのです。

 

「性」は2種類だけじゃない

 

性のあり方は、大きく分けて4 つの軸から成り立っていると松岡氏は言います。

(1)身体の性:生物学的な性、身体の性。染色体や遺伝子情報から判断される
(2)心の性:自分が認識している、自分自身の性。自分が「男」だと思うのか、「女」だと思うのか、「両方」や「どちらでもない」と思うかなど
(3)好きになる性:性的指向。誰を好きになるのか、ならないのかということ。同性が恋愛対象になる人(ホモセクシュアル)。恋愛対象が性別にとらわれない人(パンセクシュアル)などがいる
(4)表現する性:社会的に自分自身の性をどう表現するか。自分を「僕」と呼ぶ、「髪」を伸ばすなど

この4 つの軸を組み合わせることで、セクシュアリティは決まります。これらのパターンを組み合わせると、世の中に非常に多くの性のあり方が存在することが分かります。実際に、米国のFacebook では性別の欄で50 種類以上の選択肢が存在するようです。これらの要素は「0」か「100」ではなく、人によって程度が異なります。松岡氏は、「性の4 要素と程度を掛け合わせると、性別はグラデーションの様に表現される」と考えています。

 

LGBT の約7 割は学校でいじめを経験している

 

しかし現在、日本社会の多くの場面では「男性」か「女性」であることが求められます。そのため、「LGBT の中には、生きづらさを感じている人が多くいる」と松岡氏は言います。実際に、LGBT の約7 割の方が学校でいじめを経験しています。

大人になってからも、生きづらさは続きます。松岡氏曰く、「職場の5 割の人はLGBT の存在を知らない」、「職場の3 割の人は部下や上司、同僚がLGBT だと嫌だと回答している」というデータがあるそうです。

「LGBT であることが理由で、様々なライフステージに困難が生じる」と、松岡氏は言います。

 

誰もが誰かのALLY(アライ)になれる

 

松岡氏は、20 歳の時に自身がゲイであることをカミングアウトしました(関連記事)。そして、現在は「LGBT が生きやすい世の中を作る」ために、「ALLY(アライ)」を増やす活動を行っています。

 

LGBT を理解し、支援したいと思う人々をAlly(アライ)と呼びます。Ally が増えることで、LGBT は、よりカミングアウトしやすくなります。また、Ally の人たちがLGBT に配慮した言動をすることで、LGBT はカミングアウトしなくても、より安心して、そして、より自分らしく生きることができます。(引用:「MEIJI ALLY WEEK」 )

 

簡単に言うと、Ally とは「LGBT ではないけどLGBT の方を理解したい、支援したい人」のことです。LGBT も生きやすい社会を作るためには、LGBT ではない方が「私はAlly でありたいと思っていますよ」と表明することが必要です。表明するまでには、大きく3 つのステップがあります。

(1)知る(LGBTを知る、置かれている環境を知る)
(2)変わる(普段の言動に気をつける)
・セクシュアリティを笑いのネタにしない
・セクシュアリティを決めつけない
・言葉に配慮する(彼女できたの?→×、パートナーはできたの?→○)
(3)表明する

「LGBT ではない方がAlly だと表明することによって、LGBT の方にとって、安心感のある場所ができることにつながる」と松岡氏は言います。

Allyという考え方はLGBTだけにとどまらず、様々な社会的マイノリティと言われる人たちが生きやすい社会に繋がる概念ではないかと松岡氏は考えています。最後に「様々な違いを持った人に対して、味方でありたいと思った時、誰もが誰かのAllyになれる」と松岡氏は話しました。

 

松岡氏からのメッセージ

 私は、ゲイであることをカミングアウトしたときの母の言葉を鮮明に覚えています。母は「宗嗣の人生なんだから、好きに生きなさい。宗嗣が病気になったときに、誰かが隣にいてくれるということが大事で、親としてはそこが一番心配。それが男でも女でも何でも良い」と温かく受け入れてくれました。友人にカミングアウトしたときも同様です。皆、「宗嗣は宗嗣じゃん」と受け入れてくれました。私は、カミングアウトをしたことで自分に嘘をつかなくてよくなり、心が楽になりました。これからは、世の中で生きづらさを感じている人がもう少し楽に生きるために、社会がどうなればよいかを考えて、行動していきたいと思っています。

 

まとめ:自分を「知り」、相手を「知る」

「いない」のではなく「見えていない、気づいていない」。「世の中にLGBTの方が多く存在すると知ることが重要なのです」という松岡氏の言葉を聞いて最初に抱いた感想は「知らないって恐いなぁ……」ということでした。LGBT以外でも、「知らない」せいで、悪気もなく生きづらい環境を作り出している場合が少なからずあるのではないかなって思います。
そんな環境を作り出さない為に、少しでも生きやすい世の中にする為にできることってなんだろう。知らないことを前提に、相手を知る努力をしよう。話す言葉やその時々の態度から、相手に安心感を届けられるように意識しよう。知らないからできないことはいっぱいあると思います。でも、少し知っていれば、できることは見つけられるし、知っているから変えられる人になれます。明日から出会うすべての人にできなくてもいいから、自分の大切な人や友人など近くにいる人から始めてみたいと思いました。
そして、「自分自身がやりたいことに気付くためには、自分と向き合い、自分の弱さを他人に受け入れてもらう過程が必要なのではないかと思っています」と松岡氏は言っていました。そうか。自分の弱さも受けいれてもらう過程が必要なのか……。自分の弱さか……。難しいお題をいただいたように思います。あ! SHIPのイベントでは、参加者が自分を知ってもらえるように「心理的安心安全の確保」ってのを大切に設計しています。みんなが自分自身のやりたいことに気づきますように。(佐々木将人)